【ファットアダプテーション】とは?「脂質」を上手に活用してエネルギーに換えよう!
目次
運動されている方の食事法といえば「タンパク質を摂取して糖質・脂質を抑える」というのが定番でした。筋肉の合成や回復に必要なタンパク質を積極的に摂取し、脂肪になりやすい糖質や脂質を制限している方も多いはずです。
しかし、最近では脂質を積極的に活用する「ファットアダプテーション」という食事法が注目を集めています。
特に、ランキング、トレッキング、サイクリングといった長時間運動するスポーツにおすすめな食事法です。
そこで今回は脂質を積極的に活用する「ファットアダプテーション」について紹介していきます。
ファットアダプテーションとは?
「ファットアダプテーション」とは、脂質を積極的に摂取してエネルギー源に換えることで、長時間に渡る運動のパフォーマンスを高めようとする食事法の1つです。
一般的に身体を動かすエネルギー源の中心は「糖質」ですが、「脂質」もエネルギーとして活用されます。
ただし、糖質と脂質とではエネルギーとしての消費のされ方が異なるため、両者を使い分けることで運動時のパフォーマンスを高めることができます。
・糖質:素早く吸収され、すぐにエネルギーとして消費
・脂質:ゆっくりと吸収され、時間をかけてエネルギーに変換
「糖質」はエネルギー源としての出力は高いものの、すぐに消費されてしまうため、長時間の運動ではエネルギー切れを起こしやすくなってしまいます。体内に蓄えられる糖質の量も限れられているため、一度にたくさんの糖質を摂取したとしても運動時間が長くなるほど失速しやすくなるでしょう。
しかし、脂質はゆっくりと時間をかけて吸収され、エネルギーに変換されるため長時間動いてもエネルギーが切れにくくなり、長時間のライドの後半で失速するのも防げます。
こういった特性を最大限活かすため、普段の食事から脂質を積極的に摂取し、脂質をエネルギーとして利用できる体質を作っていくのが「ファットアダプテーション」です。
脂質をエネルギーにするメリット
脂質をエネルギーにするメリットとしては以下の3点が挙げられます。
・長時間の運動でもガス欠しない
・内臓への負担が減らせる
・携行する補給食が減らせる
では、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
①長時間の運動でもガス欠しない
脂質は摂取すると時間をかけて消化・吸収されていき、ゆっくりとエネルギーとして消費されるため、長時間の運動でもエネルギーの枯渇するのを防げます。
エネルギー源としての糖質は、摂取後に素早くエネルギーとして使えて、出力も高いのですが、その反面、すぐに枯渇してしまうため、長時間のサイクリングになるほどガス欠を起こしやすくなるでしょう。
そこで脂質を取り入れると、常に体内にエネルギーが残っている状態を維持することが可能です。
ライド前やライドの前半ぐらいに脂質を摂取しておけば、後半に向けて失速することもなくなるでしょう。
②内臓への負担が減らせる
糖質を主なエネルギー源として使って運動を続けるには、常に補給食を食べ続けなければなりません。
体内で消化・吸収するのにもエネルギーが必要ですし、内蔵にも負担がかかってしまいます。
脂質は1gあたり9kcalと糖質(1gあたり4kcal)よりも同じ質量でも2倍近くのエネルギー量を有しています。
そのため、補給の回数や量をより少なくすることができ、内臓への負担も減らしながら、体力を温存することができるでしょう。
③携行する補給食が減らせる
脂質(9kcal/g)と糖質(4kcal/g)では、脂質の方がより少ない量で同じだけのエネルギー量を確保することができます。
もちろん糖質も不可欠な栄養素なのですが、脂質もエネルギー源と捉えて補給食に組み込めば、より携行品を身軽にできるでしょう。
ファットアダプテーションのやり方
ファットアダプテーションは普段の食事から取り組むことで、脂質をエネルギーに変換しやすい体質を作っていきます。
では、どのような形でファットアダプテーションを進めていけばいいのかを見ていきましょう。
①摂取カロリーを維持しながら脂質の割合を増やす
日常的な食生活で摂取が推奨される脂質の割合は25%程度と言われており、1日の摂取カロリーが2000kcalなら、その内500kcalを脂質で摂取するのが望ましいとされています。
ファットアダプテーションでは、摂取カロリーを維持しながらも脂質の割合を上げて、身体が脂質をエネルギーにしやすい体質に適応させていきます。
具体的な脂質の割合としては40%を目安にして、「タンパク質:30%」「糖質:30%」「脂質:40%」の割合になる食事メニューを実践してみてください。
注意点としては、脂質の摂取量が増える分、糖質の量を制限する必要があることです。
いつもの食事に脂質を足すだけではカロリーオーバーになって、太ってしまう可能性があります。
②良質な脂質を摂取する
ただ脂質を摂取するだけでなく、できるだけ良質な脂質を選ぶことも意識してみましょう。
脂質は大きく分けて、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つがありますが、このうち「不飽和脂肪酸」を積極的に摂取してください。
飽和脂肪酸はバターや牛肉といった動物性の脂肪に多く含まれており、血中の中性脂肪やコレステロールを増やしてしまいます。
不飽和脂肪酸には、魚に多く含まれるDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸などが含まれます。
より健康を意識して脂質を摂取するのであれば、魚類やくるみ、MCTオイルといった不飽和脂肪酸の含まれる食品を選んでみましょう。
③ライド前に脂質を摂取する
脂質は長い時間をかけてエネルギーとして消費されるため、サイクリングの食事としては「ライド前」のタイミングで摂取するのがおすすめです。
出発前に十分な脂質を摂取しておけば、ライド中のエネルギー切れも防げますし、補給回数も減らすことができるでしょう。
長時間の運動のエネルギー源として脂質に着目した補給食もあります。
脂質を適切なタイミングで摂取して、安定したパフォーマンスを発揮できるようにしてみましょう。
まとめ
脂質を積極的に摂取してエネルギーに変換される身体を作る「ファットアダプテーション」について紹介しました。
もちろん脂質の摂りすぎには注意が必要なので、糖質とタンパク質とのバランスを考えながら、摂取カロリーをコントロールして脂質の割合を増やしてみましょう。
サイクリングのような長時間身体を動かすアクティビティにぴったりの食事法なので、ぜひ試してみてください!
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